蓮池で釣りを楽しむ老人は、周敦頤
(しゅうとんい)(1017~73)です。
字を茂叔(もしゅく)といい、宋学の祖と
されています。
蓮を愛した人ということ有名で、蓮との
組み合せで古染付によく登場します。
周茂叔の世界感、染付制作の発想という
点でも後世に、多大な影響を与えます。
器 ; 染付周茂叔愛連図 大鉢
-岡倉天心の書いた「茶の本」にも
登場します。-
. . . 花を愛する理想的な姿とは、花が実際に
育っているその場所に赴くことをいいます。
たとえば陶淵明(とうえんめい)のように
破れた竹垣の前にたたずみ、野菊と語らう、
林和端(りんなせい)のように西湖の梅花の
間をさまよい、黄昏のなかを漂う梅の香に
我を忘れてしまう、
そのような人が理想的な花の愛好者と
いえましょう。
また、周茂叔は蓮の夢と自分の夢が融け
合うように船の上で眠ったともいわれています。
これらの中国の文人の心情に感動し、奈良時代の
支配者光明皇后も「ああ花よ、お前を手折れば、
私の手はお前を汚すことになりましょう。
今、お前が野原にたっているまるで芸術品の
ような姿を、私は過去、現在、未来の御仏に
供えましょう」と歌に詠んでいます。. . .
国宝 紙本墨画淡彩周茂叔愛蓮図 狩野正信筆